マンション住人の立場から、給水管ライニング更生の技術を考える

マンション給排水管の修繕手法として、「ライニング」というのがあります。

古い配管を新しいものと交換する場合と比べて、費用が安く、工事の際の住人への負担も非常に低い手法らしい。

ただ、性能的にはどうなんだろうか?

「ライニング」という言葉自体、一般の人にはなじみがありませんよね。わたしも知りませんでした。

「ライニング」って一体どんなものなのか、工事を依頼する側のマンション住人として、知りたいことをまとめてみます。

ライニングとは?

そもそも、「ライニング」ってどういう意味なんでしょうか?

比較的よくつかわれる場面が、オーバーコートなどの洋服の「裏地」や「裏地をつけること」でしょうか。

「ああ、それなら聞いたことある」って、わたしもそうでした(笑)

服地の分野だけではなくて、より一般的には、物の表面や裏面や内面に、保護や滑りをよくするような目的で、別の物を貼り付けたり塗り付けたりすること、を意味するようです。

コーティングの一種とも言えますが、厚いしっかりしたコーティングである、というニュアンスを込めて、「ライニング」という用語が使われるようですね。

今の場合は、配管の内面に樹脂の層を形成して、管を補強し再生させる、という手法になります。

実際のライニングって、いったいどうやるんだ?

配管の内面に樹脂の層を形成する「ライニング」という技術。いったいどうやるのか、ちょっと想像できませんよね?

太い排水管ならともかく、マンション住戸の専有部分に引かれている給水管って、細いじゃないですか。

あんな細くて長い管の内面に、どうやって樹脂層を形成するのだろう?

ライニングを施工できる業者さんは、思いのほか多くて、ネット上で調べると、ライニングのやり方の説明がたくさん見つかります。

技術の詳細となると、それぞれの業者の独自技術があるようで、同じではないのですが、基本的な流れは共通しています。

配管の入り口となる部分(例えば水道メーターに接続する部分)と出口となる部分(例えば水栓の部分)は取り外したとして、管の中にいろんなものを流すことができます。

まず、古い配管では、内面に錆や水垢がこびりついて流路が狭くなってしまっているので、それらを取り除くクリーニングを最初に行います。

どうやってクリーニングするかというと、研磨材を流します。研磨粉を高圧の水や空気で管の中に流し込む手法が標準的なようです。

これによって、古い管の内面をきれいにする。

クリーニングした次に、液状のエポキシ樹脂(接着剤に使われたりする)を流し込んで管の内面に塗り付ける。

そして、塗り付けられた液状のエポキシ樹脂の層を重合固化させて、管の内面を保護する固体の樹脂層を形成させるわけです。

いわば古い配管の内面に、あらたにエポキシ樹脂の管をつくってしまうわけです。

エポキシ樹脂の管ですから、これは相当に丈夫です。10年、20年大丈夫な更生法と言えるそうです。

ライニングによる給水管更生のメリット

古い給水管を新しい給水管に交換する方法と比べたときの、ライニング更生の手法のメリットはどうでしょうか。

もう、これは言うまでもありません。

現状の古い配管がそのまま新しいものに生まれ変わるような感じなわけです。

壁や床をはがしたりする工事は不要です。

施工中は水は使えませんが、工期は数日のようです。

新管に交換する場合の費用は、ざっと100万円レベルと言われ、庶民にとっては莫大な金額。

それに比べて、ライニング更生の場合は、その半額から三分の一程度になりうると言われています。

工事の生活への負担と費用の両面において、とても魅力的な工法だと、わたしは思います。

ライニング更生を実施するに当たって気になる点

わたしは、ライニング更生の詳細を知ってから、できるものなら、ぜひともこの工法で専有部分の給排水管修繕を行いたいと思うようになりました。

そこで、さらに話を具体化していくためにいろいろ考えたところ、いくつかの気になる点が出てきました。

それらはこれから精査していかなければなりませんが、ここで、問題をはっきりさせるために、書き出しておきたいと思います。

給湯管のライニングの情報は少ない

すでに別記事で書きましたが、マンション専有部分でもっとも漏水事故が起こりやすいのが給湯管です。通常の冷水しか通らない給水管に比べて、給湯管は管の材質や太さ(細い)が異なります。

管が細くなるとライニングの施工が難しくなるように思います。

この給湯管のライニング更生ができる業者がどのくらいいるのか?

給排水管のライニングについてネット検索すると、一番多いのが、「排水管」のライニングの情報です。

給湯管のライニングについて明示的にしっかりした情報を提供しているのは、わたしが見つけた限りでは1社のみです。

ただ、詳しい記載はないものの、給湯管ライニングの施工もしていそうな業者は複数あります。

今後は、直接の問い合わせなどで、情報をとって行こうと思っています。

どの程度の劣化までライニング更生で対応可能なのか?

ライニングは既存の劣化した配管の内部に樹脂層をコーティングしていくわけですから、既存管の劣化が激しければ形成が難しくなってきそうに思います。

どの程度までライニング処理ができるのか?

現状で漏水がなければ可能なのか?

また、部分的にひどい劣化があっても、その部分のみ新しいものに交換する前処理をすれば、後は全体でライニング処理が可能なように思えます。

この辺も明らかにしていきたいところです。

マンション全棟一斉の施工でなくても発注可能か?個別施工も可能か?

ライニング更生の情報として、排水管の情報が多いと書きましたが、各住戸の排水管は共用の太い排水管につながっていますので、個別での工事は難しそうな気がします。

とすると、排水管のライニングの施工は、マンション全体で行う、大規模修繕のひとつのように思います。

これは管理組合が主導して扱うべき問題になってくるでしょうね。

ところが、専有部分の給水管・給湯管はまさに個々の住戸の個別の問題です。

とすると、各住戸ごとの個別の判断での施工実施というのが自然ですが、工事受注側としては、そのような個別の発注にも対応してくれるのかどうか。

あるいは、全体の意思統一をして一斉に工事を行うという状況に持っていく必要があるのか。

ライニング施工業者の技術の優劣をどう判断するか

ライニング更生の施工を発注できる業者が複数あるとして、業者選定のポイントは、施工技術と費用になるかと思われます。

施工技術については、かなり専門的な話になるので、如何にそれを素人である我々が判断するかです。

しっかり勉強するか、どこかにコンサルしてもらうか、ということが必要になってくるように思います。

まとめ

現時点では、まだ、具体的に業者さんと接触するところまでは達していません。

その前に、ライニングという未知の技術について、ある程度の予備知識を溜め、専門業者さんとの相談がスムーズにいくように準備をしている段階です。

整理できた来た段階で、直接の相談にもっていきたいと思っています。

今後も、より詳しい情報を加え、より突っ込んだ記事をお送りしていきたいと思います。