探査機「はやぶさ2」が小惑星「リュウグウ」にクレーターを形成!その目的は?

「はやぶさ2」がまたまた困難なミッションをクリアしたってね!小惑星「リュウグウ」にクレーターを形成したらしい!

いったいどうやって作ったのか興味津々。その目的は何か?また、これからどうなっていくのでしょう。

「はやぶさ2」プロジェクト、今どうなってる?

2014年12月に「はやぶさ2」は打ち上げられました。そして約3億キロメートル離れた小惑星リュウグウに2018年6月に到着。

その後、リュウグウの表面の様子などを念入りに調べて、着陸場所を探し、今年2019年の2月22日に着陸に成功。

着陸では一瞬だけ表面にタッチして、表面のサンプルを採取。そして、すぐに離陸上昇(タッチダウン)。

これは初号機「はやぶさ」でも試みられましたが、うまく行かなかった。それだけに、最初の難関でありました。

「はやぶさ2」はこのダッチダウンによるサンプル採取に見事成功。

そして、次なる目標は、これまで誰もやったことがない、リュウグウ内部のサンプル採取に挑戦します。

「はやぶさ2」はなぜクレータをつくるのか?

「はやぶさ2」は一回目のタッチダウンでサンプル採取に成功したと見られています。

それじゃ、そのサンプルをもって地球へ帰還しないのか?って思っちゃいますが、もっとすごいことを計画しているのです。

小惑星の表面は「宇宙風化」している

一回目のタッチダウンで採取したサンプルは、リュウグウの表面のサンプルになりますね?なんにしても「表面」というのは、いろんなことで変化しやすい。

地球だったら、雨や風や日の光なんかで、地表にあるものはどんどん変化していきますよね?「風化」とよんだりする。

小惑星の場合は、大気がないから雨や風というのはないですが、太陽からの光はありますね。

そしてもっと強烈なのが放射線。これは、光も含まれるけど、もっとエネルギーの高い電磁波である紫外線やX線やガンマー線。その他の宇宙線と呼ばれる粒子線などがバンバン降り注いでいるわけです。

ちなみに、地球の場合は大気に加えて磁場があるので、地表に届く放射線はすごく弱められているのです。

そういう、小惑星の表面の変化は「宇宙風化」と呼ばれています。風はないけど「風化」っていうんだね。

小惑星の内部は「宇宙風化」していない生の状態が保たれている

表面が風化しているとなると、果たして表面で採取したサンプルはどの程度役に立つのか?って問題がでてきますよね。それでも、ないよりは全然ましなんだけどね。

できれば、風化していないことが期待される、内部の深いところからのサンプルが欲しい、というのは納得でしょう。

「はやぶさ2」が小惑星に行く理由を思い出してみると、太陽系の誕生時の秘密を探る、とか、生命誕生の秘密を探る、とかいうことがあるわけです。

そのためには、風化していない内部のサンプル採取は、とっても意味があることになります。

そこで、表面に穴を掘ろう!、ということになるわけです。その穴がクレーターです。

「はやぶさ2」のクレーターの作り方はユニークだ!

クレーターというのは、底が平らなすり鉢状のくぼみです。月の表面がクレーターだらけなのは、よく知られていますよね。

地球上でも、隕石衝突の痕跡と考えられるクレーターがあります。

また、火山の噴火口も、やはり同じような形のくぼみになっていて、クレーターと呼ばれますね。

クレーター生成には大きなエネルギーが必要

「はやぶさ2」のやり方は、金属の塊を高速で小惑星の表面に打ち込む、という方式です。

ただ、十分な質量のある塊を十分な速度をもって撃ち込まないと、深いクレーターを作ることはできない。

そこが難しいところだと思います。

なぜなら、大質量の塊を高速で打ち出すということは、その反動も大きいということです。

第一回目の着陸の時に、「はやぶさ2」はサンプル採取用の弾丸を発射しました。

その時は、反動で小さなカケラを飛び散らすのが目的でした。なので、弾丸は小さなもので良かった。

クレーターをつくるとなるとそうはいきません。作ろうとするクレータのサイズは、直径10メートル、深さ1メートルになると言いますから、かなりのエネルギーが必要です。

それだけのエネルギーをもった塊を「はやぶさ2」本体から発射するのは、本体への反動が大きすぎる。

本体が壊れてしまいます。

「はやぶさ2」は分離したインパクタから金属塊を打ち出す

そこで、「はやぶさ2」では、まずは金属の塊を打ち出すユニット(インパクタ)を本体から切り離す。

そして、そのインパクタから火薬の爆発で金属の塊を小惑星向けて打ち出す、という方式をとっています。

なるほど、インパクタという形で、本体と切り離すことによって、本体へのダメージを防ごうというわけですね。

小惑星に人工でクレーターをつくるというのは世界初の試みなので、そのための方法も、大変ユニークなものとなっていますね。

この方式でのクレーター生成がうまく行ったようです。もっとも、クレーターそのものの確認はこれからのようです。

しかし、インパクタ作動時に撮影された画像には、リュウグウ表面から飛び散る岩石の様子が写っている。なので、まず、間違いないでしょう。

さて、インパクタから金属塊を発射してクレーターをつくるときに、「はやぶさ2」は退避活動をしてます。

さらに、クレーター生成時のリュウグウの様子をカメラ撮影をしています。

こういった、大変複雑な動きをしています。

まさに、アクロバティックな運用ですが、これが大変興味深く意義深い。

別記事で詳しく取り上げたいと思います。また、読んでくださいね!

まとめ

探査機「はやぶさ2」が、小惑星「リュウグウ」の表面に人工クレーターをつくるという、難しいミッションに成功した模様です。

クレーターを作ることによって、小惑星内部がむき出しとなり、宇宙風化のない部分の岩石の計測やサンプル採取が可能になる。

人工クレーター作成の方法は、探査機本体から分離したインパクタから金属塊を高速で打ち出すという、非常なユニークな方式がとられた。