今回のがっちりマンデーは黄綬褒章に輝いた職人の方々のご紹介でした。
黄綬褒章とは、
「第一線で業務に精励している者で、他の模範となるような技術や事績を有する者を対象」としているとのこと。毎年500人から600人が受章しているのだそうです(出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』)。
がっちりマンデーでは、「職人の頂点の証」として紹介されていました。
ほとんど、「ビジネスの新しい潮流」とは逆ベクトルで、伝統芸能的な内容が多いと思いましたが、「温故知新」ということもありますので、簡単にまとめてみます。
いずれも、モノづくりの職人さんです。
ハサミとヘラだけで手作業でガラスの大平皿をつくる
最初に登場したのは、上越クリスタル硝子という会社のガラス職人、高橋さん。
オレンジ色に溶けて色づく水あめのような溶融ガラスの塊から、必要量を大きなハサミで切り取ります。
それを台の上にヘラで延ばして、30㎝角くらいの四角形の大型の平皿に整形します。
この間、数十秒のあっという間の早業です。すべてが手作業です。
「谷川工法」と言っていました。
ゆっくりしていたのでは、ガラスが冷めて固まってしまう。
こうしてできた平皿は1枚4000円あまりとのことでした。
比較として、はじめて3年という新米の職人さんが同じ作業をやって見せましたが、途中でガラスが硬くなって失敗。
3年程度の修行では、まったく習得できない極めて難しい技のようです。
職人の行った全過程は、おそらく、AI搭載のロボットに真似させることはできるかもしれないなぁ、と感じました。
ただ、そんなロボットを開発するほどに、この平皿の需要はないでしょうね。
コストとの兼ね合いで、なんでもロボットに置き換えられるものじゃない。よほど人間の方が効率的で柔軟だろう、と思ったわたしでした。
工場のタンク・ダクトをつくる、資格の塊の製缶工
次なる職人さんは、三進工業の水信(みずしな)さん。
工場で使う、巨大な貯蔵タンクやダクトに用いられる円筒形の金属缶をつくる製缶工なのだとか。
水信さんは設計から加工、整形をこなすほか、修理も行う。玉掛やクレーン、高所作業など、10以上の資格をもつ資格の塊のような人。
製缶工をこなすには、たくさんの技能の融合した能力が必要らしい。
こういう人は、いなくなったら会社が一大事になってしまうでしょうね。
シニアになっても会社に大事にしてもらうには、こうでなくっちゃいけないな、と身につまされたわたしでした。
味噌の天地返しで味噌業界の革命を
三人目は、宮城県の川敬醸造の川名社長。
会社自体は創業110年の伝統ある会社ですが、この社長は、味噌づくりの業界に革命を起こしたようです。
味噌づくりにおいては、酵母などが偏らないように、大きな容器に入れた発酵中の味噌を上下入れ替わるように混ぜてひっくり返す作業があるというのです。
「味噌返し」と言う作業です。
これが、従来は人手で行っていた。
大きな容器の中にはいった発酵中の味噌を、スコップを使って、人手で堀り起こしひっくり返す。
これが大変な重労働。一つの大容器分の味噌返しに30分かかるのだそうです。
その作業を、川名社長は、フォークリフトを使って、容器ごとひっくり返す、大技を編み出した!
これだと、なんと、一つの大容器の味噌返しに3分しかかからない!
フォークリフトさえ扱えれば、誰でもできるといいます。
これは、伝統を一部破って、新しいやり方を導入して大成功の事例ですね。
伝統の守り方、破り方、勘所を考えないといけないと思わせられるスゴ技です。
伝統を守り通す和紙職人
最後に登場したのは、岐阜県飛騨市の和紙職人、柏木さん。
山中和紙の手すき職人で、非常に丈夫な和紙をすく。
普通の和紙にはパルプが混ぜられていて繊維が短いが、柏木さんのすく和紙は繊維が長くて丈夫なのだとか。
その秘密は、伝統を守った材料にあるとか。
パルプを使わず、原料のコウゾを自ら栽培し、そのため繊維が長い。丈夫な和紙になるわけ。
さらに、コウゾの漂白作業も、伝統の雪晒しという手法で行うので、雪に冷やされてコウゾが長持ちするのだとか。
柏木さんの和紙を求めて、書家や画家から注文がくる。プロが認める和紙なわけです。
この和紙に写真の現像をすることができるくらい丈夫だという。
まとめ
今回のがっちりマンデーは、味噌の話題を除いては、伝統を守ってがっちり、というお話でした。
わたしの興味としては、これをどうニュービジネスに生かすことができるか、っという点ですが、すぐにはわかりません。
ただ、こういう話も、頭の引き出しに入れておくことは、決して無駄ではないと思う、今日この頃です。
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