AI(人工知能)は、いろんなところに導入されつつありますが、その恰好のターゲットにアニメがあるみたいですね。なんで、アニメが?
パラパラ漫画も作るの大変です
アニメってね、「動画」なわけでしょう?いまさらだけど。
動いて見えるのは少しずつ違う静止画が連続的に表示されていくから。まるで動いているように見える、ってわけですね。
学生の時に、先生の目を盗んで、ノートや教科書の角のところに、パラパラ漫画作ったりしなかった?作るのにすごい時間かかりますよね。
結構、ちゃんとアニメに見えるんですよね!感動もの!
でも、一生懸命、何十ページもかいても、パラパラっとめくると、数秒で終わります。如何にたくさんの絵がいるか、身をもって体験した人も多いのじゃないですかね。
そういや、芸人の「鉄拳」さんが、パラパラ漫画を、ある意味、芸術の域にまで高めてますよね。
いやー、パラパラ漫画なのに、というか、パラパラ漫画だからこそ、というのか、味のある素晴らしい作品を作っていらっしゃる。
アニメ制作は自動化にうってつけ
まあ、それはそれで置いといて、普通のアニメの話に戻りましょう。
要するに、アニメ制作っていうのは、ちょっとずつ違うたくさんの静止画を大量につくらなきゃならない。
同じようなものを大量につくる、ということを考えると、自動化の対象としてはうってつけのように思いますね。
アニメは2兆円産業といわれるくらい、ものすごい社会的需要がある。だから、経済的にも、アニメに自動化を導入する十分な社会的動機があるわけですね。
アニメの中間の絵は「動画マン」が描いている
同じようなものをたくさんつくるといいましたが、正確に言うと同じじゃない。全体として動いていくわけですが、むしろ、少しずつ違っているところが重要ですよね。
似てるけど同じじゃない。それって難しそうじゃないですか?
従来は人間がやってる工程なわけで、そういうの描く人を「動画マン」っていうらしい。
原画として、2枚のコマの絵がある。その2枚の間をスムーズにつなぐ中間の絵を何枚も描くわけです。
アニメ制作の時給って、100円くらいか?
30分のテレビアニメの場合に、この中間の絵が4000枚くらいあるらしいんです。それを動画マンが1枚描くのに数時間かかるのだそうですよ。
その工賃が、いくらだと思います?200円です!1枚たったの、200円!
時給にするといくらだ?100円?50円?ひど過ぎませんかね。
これはあまりにもひど過ぎる。しかし、たぶん、それでなければやっていけない、アニメ業界の構造があるのでしょうね。
このままでは、アニメ産業も、早晩、崩壊するのじゃないですか?
アニメの中間フレーム作成は実写とは異なる
この「動画マン」の作業を自動化するにはどうすればよいか。
ここでちょっと、あれ?って思いだしたことがあります。コンピュータグラフィックスです。
最近の映画は全部(というくらい)がコンピュータグラフィックス、いわゆるCG、を使っているじゃないですか。
そこで、関連技術が既に開発されてきてるんじゃないのかなーって。
確かに、そういうのはあるようです。実写動画の中間フレームを自動補完する技術はあるらしい。
ただ、これは使えないのだそうです。アニメにはアニメに適した補完の仕方があるらしい。
アニメの動画作成にAIの出番がある
確かに、アニメにはアニメらしい動きというのがある感じがする。たとえば、サザエさんが実写さながらのスムーズの動きをしたら違和感がありますよね。
むしろ、適度なぎこちなさ、デフォルメされた表現を必要とする。
だから、アニメ用の最適な技術というのは、別途開発しなければならないわけです。
「最適化の学習」。これはまさにAIの出番となるわけです。
何を自然と感じるか。何をアニメらしいと感じるか。これを抽出して自動化する。これをAIが可能にするってことなんですね。
AIが単純作業の工程を代替する
別記事で書いた、アニメの線画彩色の技術にしても、今回の動画マンの自動化技術にしても、アニメ制作の中では、低賃金の工程を対象にしています。
確かに、こういう、人がやるにはあまりにも割の合わない作業というのは、AIが代替してくれるのが、世のため人のためと思います。
AIのお陰で、将来的には、人間は、単純作業(といっても、十分インテリジェンスを必要とするんですが)はAIに任せて、本当にクリエイティブな部分に注力すればよくなるのでしょうかね。
うーん、そうあって欲しいのですが、、、必ずしも楽観は許されないようなんですね。
結局は、AIがアニメ制作の全部をやっちゃうのか?
『ポケットモンスター』『NARUTO』『新世紀エヴァンゲリオン』『遊戯王デュエルモンスターズ』などの多くのヒット作を生み出してきたプロデューサーであるエー・ティー・エックスの岩田圭介社長はこう言います。
マニュアル化された工程だけでなく、人のクリエイティビティが要求される工程でさえも、AIで置き換えることが可能だろうと。
極論すれば、全部AIがやっちゃう、ということですか。
これは、アニメ制作だけにとどまる話ではないですよね。AIってそんなすごいんでしょうかね。
まとめ
アニメの大量の中間絵を制作する作業は「動画マン」が担ってきたが、恐ろしく低賃金の作業である。
AIは低賃金の単純手作業工程を代替していく方向にある。
しかし、単純工程だけでなく、人のクリエイティビティが要求される工程もAIで置き換え可能だろう。
近い将来、アニメ制作の全部をAIがやってしまうようになるかもしれない。
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